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思考の共有から生まれる独自のサービス。Diver DownのScrapbox活用術

· #会社で使う

ユニークなWebサービスを多数手がけるDiver Down LLC.。

3人の小規模なチームですが、社内で使うドキュメンテーションツールにある課題感をもち、2019年にScrapboxを導入しました。

今回は同社の御三方にScrapboxを使い始めた理由や現在の利用方法などを伺います。

Diver Down 1

Diver Down LLC.

共同創業者、代表 須田省吾 様(以下「須田」)

共同創業者、エンジニア 遠藤祐介 様(以下「遠藤(祐)」)

UXディレクター 遠藤未稀 様(以下「遠藤(未)」)

フローとストックの間にあった“落とし穴”

まず、御社の事業内容について簡単に教えていただけますか?

須田「Webサービスの制作を行っています。代表的なサービスは、創作者がポジティブなフィードバックを受け取りやすいようにすることで、より創作が促されることを目指す匿名メッセージングサービス『マシュマロ』や、プログラミングができなくてもツイートを解析するアプリを作れるようにする『アプリ☆メーカー』など。もともとは大学生の頃、彼(遠藤(祐))と2人でWebサービス開発を始め、卒業後は個人事業主として続けて2016年に法人化しました。これまでに受託開発や資金調達は一切したことがなく、今思えば無謀でしたが、一貫して独自のサービスを作ることのみを事業としてきました」

なぜ仕事でScrapboxを使おうと思ったのですか?

遠藤(祐)「もともと社内のドキュメンテーションツールとして、他のドキュメント共有ツールとSlackを組み合わせて使っていましたが、書いた情報をあとから取り出しくいことに課題を感じていました」

遠藤(未)「Slackは自分の状況や思考プロセスをリアルタイムに共有するのには適していますが、前のやり取りを忘れて何回も同じ話をしてしまう…そんなことがよくありました」

“ちょうど良い”ドキュメンテーションツールを探していたということですね。

須田「気軽に共有する情報と、整理して発信する情報との中間に大きな"落とし穴"があって、そこで失われていく知識やアイデアを救えるツールを探していました」

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覚えることは少なく、出来ることは多い。個人利用からスムーズにビジネス導入

どのようにScrapboxを使い始めたのでしょうか?

遠藤(祐)「はじめは僕がTwitterでScrapboxの存在を知って、2人に『面白いツールがあるよ』と教えました。流れてくる情報を見るたびにScrapboxの面白さを知って個人で利用するようになり、気付いたら仕事で使うドキュメンテーションツールとしてのハードルを超えていたという感じです」
須田「そのときの彼は『現状の課題を解決するため』というより、Scrapboxそのものにハマっていましたね。最初は彼からサービス開発の参考になる情報として、「テロメア」というScrapboxの独特な機能を紹介されました。書いたテキストの中で古い行ほど細く表示され、情報の新旧を可視化させるというのはとても面白い発想だと思いました」

遠藤(祐)さんの個人利用からスタートし、そこから3人で使うようになったのですね。会社で導入する際に反対意見はありませんでしたか?

遠藤(祐)「反対の声はなかったですね。Scrapboxは記法も簡単なので、特別に何かを教える必要もなく、3人で当たり前のように使い始めることができました。例えばMarkdownだと、久しぶりに触ると記法を忘れていて、『画像どうやって貼るんだっけ?リンクはどうやって貼るんだっけ?』とか戸惑ったりしますが。Scrapboxは覚えることは少ないのに出来ることが多い。ストレスなくスムーズに導入できました」

開発・仕様検討・バックオフィス。様々なシーンでのScrapbox利用

現在のScrapboxの利用方法を教えてください。

須田「書いて共有する“基本の場所”として、あらゆるドキュメンテーションをScrapboxに集約しています。まだ答えが見えていないことも、Scrapboxで書きながら考えるという感覚で、例えば、問題に対する調査や企画提案、ミーティングなど、幅広いシーンで使います。」

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具体例としてはどんな内容を書くのでしょうか?

遠藤(祐)「僕はエンジニアなので、バグや不具合を見つけたときに解決のログをとったりしますね。須田は仕様系をまとめたり、彼女(遠藤(未))はUX改善案やバックオフィス系の処理についてまとめていたり。それぞれ役割が違うので、Scrapboxの使い方も違います」

遠藤(未)「経理や事務の仕事では、毎月の振込処理や決算など、繰り返し発生するタスクが多いのですが、そういった処理をするときにScrapboxがとても役立っています。例えば、決算に関する手続きのページを一度作ってしまえば、次の年はそのページをコピーしてタスクを確認しながら処理ができます。思考の経緯も残しておくので、『なぜこうしたのか』という動機も一目瞭然です。」

遠藤(祐)「それから、僕の場合は書く以外にも、仕事とは直接関係ないことも含めて、ブックマークレットを使いScrapboxにブックマーク(スクマ)して情報収集やネタ集めもしていますね。こういうハックをする余地が残されているところもScrapboxを使っていて楽しいところです」

須田「業務外のページもかなり多いです。美味しかった飲食店の情報とか、コーヒー豆のレビューとか」

プロジェクトは分けていますか?

須田「プライベートと仕事で分けてはいますが、仕事のプロジェクトは1つだけです。サービスや担当領域などで分類せず、全てをごちゃ混ぜにしていくのがScrapboxらしい使い方だと解釈しているので。細かい判断はせず、『カオス上等』だと(笑)」

遠藤(未)「プロジェクトは1つで階層構造もなく、全てのページが横並びなので、『このページどこに置こう』と考える必要がありません。だから書き始めるときの迷いがなく、以前よりも圧倒的にアウトプットの量は増えたと思います」

「考えたことを書く」のではなく「書きながら考える」Scrapboxの魅力

Scrapboxの運用ルールは設けていますか?

須田「ルールはあえて決めていないです。独特なツールなので、最初にある程度“どう向き合うか”のすり合わせはしましたが。普通のドキュメンテーションツールだと、やはり多少整理したくなってしまう。しかし、あえて整えず、ごちゃ混ぜの“カオスな状態”を許容するのがScrapboxの正しい使い方だと捉えているし、最終的な形が曖昧なまま進める必要がある自社サービス開発に合っています。表記揺れがあったとしても『見つけた人が直せばいいじゃん』と、そんな感覚ですね」

それでは最後に、改めてScrapboxの魅力をお聞かせください。

須田「僕はもともと書いて考えるタイプの人間でしたが、その感覚をそのままチームの文化にしてくれたのがScrapboxでした。自社サービスは各自が開発しながら考えていく必要があるので、Scrapboxに書きながら考えて思考ごと共有できるのは大きな魅力。書き始めるハードルは低く、それでいて埋もれないのでしっかりとアップデートも可能です。フローとストックの間を埋めてくれる、他にはないドキュメンテーションツールだと思います」

遠藤(未)「Scrapboxに思考の経緯を残しておくことで、ページを開けばいつでも途中から思考を再開できます。これは、UX・広告運用・バックオフィスと距離が離れている分野のタスクを同時並行で進めている私にとって大きな魅力です。それに、例えば2人から「決算処理どこまで進んでる?」と聞かれたら、Scrapboxのリンクを送るだけで回答になりますし、情報共有も容易になりました」

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遠藤(祐)「Scrapboxを使うと『考えたことを書く』のではなく、自然と『書きながら考える』ようになります。単なるドキュメンテーションとして使うのではなく、チームで“思考を共有”するという目的において、Scrapboxは欠かせないツールです」

御三方、ありがとうございました!

(文・写真/下條信吾)