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「Scrapbox Drinkup #12」お久しぶりです!万感の思いを込めて、3年ぶりのLT大会

2023年6月20日

 

チームのための新しい共有ノート「Scrapbox」を提供する株式会社Helpfeelが、ScrapboxのユーザーやScrapboxに興味をもつ人達のカジュアルな情報交換の場として不定期で開催する「Scrapbox Drinkup」。

2023年1月31日(火)に、3年ぶりとなる12回目のDrinkupを開催できました!今回は、約40名の方が参加。ライトニングトークでは、Scrapboxの開発者や事業開発担当者、ヘビーユーザーと、立場の異なる8名が登壇し、新機能の情報や活用術、3年間で溜まったScrapboxへの“愛”などをそれぞれの視点で語りました。

 

久しぶりのリアルイベントに高揚感がみなぎる場内。

Scrapbox発明者、増井俊之の「乾杯!」でDrinkupの幕開けです!

LT1人目:shokai「Scrapbox 3年間 1,400回のリリースを振り返る」

LTの一人目は、Scrapboxプロダクトマネージャーのshokai。

前回開催したDrinkupから3年の間に、社名がNota, Inc.から株式会社Helpfeelに変わり、FAQシステム「Helpfeel」の導入企業拡大で組織も巨大に。

そんななかでも以前と変わらず、Scrapboxの機能開発やサポート、サーバー運用などで忙しくしていたと、自分自身のこれまでを振り返ります。

Scrapboxは、ここ3年でユーザー数が10万アカウントから29万アカウントに増え、ページ数も400万ページから1,300万にまで増加。その裏側で、新機能を実に1,400回もリリースしました。

新機能のなかでも面白いものを、shokaiがいくつかご紹介します。

・2 hop search

表示しているページの関連ページだけを全文検索する機能。

検索範囲をコントロールできるので、1つのプロジェクトを大人数で共有し、たくさんのページを作っている場合に便利。

・Back to this time

テロメア(行の更新時刻を視覚化するScrapboxの機能)から、その行が作られた過去のページに戻れる機能。

これにより、古い情報のリファクタリングがしやすくなった。

・3色テロメア

これまで、ページごとの既読・未読の状態を2つ色で表していたデザインを変更。緑(青)のマークに濃淡をつけ、「ページを読み込む前に更新されていた未読行」と「ページを読み込んだ後に更新された更新行」を区別できるようにした。

これにより、例えば会議のアジェンダページで事前に議論していて、当日議論を追加する際に、更新があったかどうかを視覚的に確認できる。

・To discuss with N members

複数人で共有するプロジェクトを表示したとき、メニューが自動で開き、点滅で他のメンバーの情報を通知する機能。

大規模な組織でScrapboxを利用するときに役立つ。

・highlight & scroll

全文検索をした際に、ヒットした位置まで自動スクロールされる機能。
https://gyazo.com/e076081140dff78f082c652566266a8c

同時に、関連ページを開いたときも、参照元まで自動でスクロールされる。
https://nota.gyazo.com/ef81993dbbd899d6381aabb5f3bda3ca

shokai「他にも紹介したい機能はたくさんありますが、今回はこの辺で。これからも進化し続けるSrapboxにご期待ください!」

LT2人目:sawachin「入社3ヶ月のBizdevが送る『ビジネスユーザ目線のScrapbox』」

続いては、Scrapbox事業開発担当のsawachin。

以前は株式会社ネットプロテクションズという会社で働いていて、大規模組織でのScrapbox導入を推進した立役者。shokaiの書いた求人に“引っかかり”3ヶ月前にHelpfeelに入社しました。

今回は、自身がScrapbox事業開発担当になってからこれまでの「3ヶ月の歩み」を紹介しました。

sawachinは入社後、さまざまな取り組みのひとつとして、今まではやってこなかったScrapboxのユーザ調査を実施しました。そこで、「ビジネスユーザがScrapboxに対して感じる価値」についてアンケートを行った結果、以下のような結果に。

1位:「コミュニケーションがしやすい」

2位:「リアルタイム同時編集楽しい。リアクションをもらったとき嬉しい」

3位:「知識がつながる、可能性が広がるのが楽しい」

Scrapboxを使い慣れたユーザほど、3位にあがった「知識がつながる、可能性が広がるのが楽しい」といったところに価値を感じていますが、多くの人はチャットとしての意識が強いということが明らかに。

また、大企業でScrapboxを管理する難しさや、独学で使いこなす難しさなど、さまざまな課題とその原因を探っていった結果、Scrapboxの哲学を正しく伝える“しっくりくる表現”にたどり着いたとsawachinは語ります。

「Wiki・メモ帳・チャット。3つ合わせて初めてScrapbox」

そして、Scrapboxに使いづらさ、居心地の悪さを感じている場合、次の3つのなかのいずれかが欠けていると話しました。

・Wikiが欠けると…

資料の重複、リンクの欠如、安易なタグ付けによって、探し出すのが困難に。正しい情報が書かれている保証がなくなり、頻繁にチャットで確認されるようになる。

・メモ帳が欠けると…

試行錯誤や思考の過程が抜けてしまい、内容が一発で伝わらない。確認のための会議が必要になり、作業や思考の時間がどんどん減っていく。

・チャットが欠けると…

議論やフィードバックが起こらず、一方的な主張やメモの置き場になってしまう。

sawachin「Scrapboxの3つの側面で機能させながら、チームで有効に使うためには、導入推進者が重要なのです。また、リーダーが強制して書かせるのではなく 『メンバーが気づいたら書いている』という理想系を実現するためには、自発的に取り組む“風土づくり”が必須。

そこで、導入推進者を支援するために、現在Scrapboxのチーム利用で役立つサンプルプロジェクトを作成中です!

商談、議事録、作業ログ、プロジェクト管理、提案 など、ビジネスシーンの実例を交えながら、生々しいダミーデータを用意する予定。Scrapboxの社内オンボーディングを全面的にバックアップしていきます!」

LT3人目:daiiz「Scrapboxで薄い本をつくる」

LTの3人目は、Helpfeel開発メンバーのdaiiz。

個人で研究・開発を進めている、Scrapboxから薄い本を作るツールについて話しました。

daiiz「2年前から開発に取り組んだ結果、いよいよ完成に近づき、Scrapboxで書いた本が紙で印刷され、実際に配るまでに至りました!」
https://gyazo.com/bb674551d01fa40f69c86d4177c8e634

この技術同人誌は、次のような“Scrapboxらしさ”を生かして執筆したそうです。

・箇条書きで一文を短く、リズムよく書く
・小さなページに切り出して書く
・ページ同士を「リンク」で繋いで考察を深める
・プロジェクトを分けず、1つで完結させる

こうしたScrapboxの哲学に基づいて書いていけば、最後に「目次」としてページリンクを並べるだけで一冊の本が完成。リンク先が目次の章立てに含まれていないページは、Appendix(付録)として適切な場所に追加されるという画期的なアイデアです。

daiiz「今後の展望として、今年からは自分が執筆する技術同人誌を『紙 + PDF + Scrapbox JSON』というの3つの形態で配布していくために、さらなる開発を進めていきます。

LT4組目:塩澤一洋さん・益田綾乃さん「Scrapboxで司法試験合格者続出!?」

続いて登壇したのは、Srapboxのヘビーユーザーとして知られる成蹊大学法学部教授の塩澤 一洋さん。

成蹊大学の法学部で、学生の司法試験に向けて論述のトレーニングをするゼミでも、そのインフラとしてScrapboxをフル活用しています。

そんなゼミで、一昨年、晴れて1人目の司法試験合格者が出たとのこと!

去年も2人受かり、毎年数人しか受験しないなかで、なかなかの高確率と塩澤さんは喜びいっぱいに語ります。

Srapboxで法律を学んでどんなことが良かったのか、一昨年の合格者の益田さんが話してくれました。

今は弁護士として、都内の事務所で忙しく働く益田さん。

もともと理系の人間で、文章を書くことが苦手だったのだそう。2017年から塩澤先生の授業やゼミでScrapboxを使い、書いたものはその場で塩澤先生に見せ、やがて益田さん自身も後輩が書いたものを添削するように。たくさん書き、たくさん読み、たくさん直すという経験を重ねていきました。

また、法律の勉強のなかで、規範などの暗記しなければいけない文章をScrapboxにたくさん書くという学習もしていたのだそう。益田さんが作り上げた“規範書”は、そのまま後輩が引き継ぎ、次の世代が育っていくという素晴らしいサイクルが実現しているようです。

一方、今働いている弁護士事務所では、過去の判例などの文章が別々のファイルで管理されているので、探すのも一苦労なのだとか…。法曹業界でもScrapboxを導入が進むように奮闘しているそうです!

LT6人目:ootakiさん「『無線の見える化』プロジェクト」

続いては埼玉で建築事務所を営む大瀧さん。

この方も以前から熱心なSrapboxユーザで、この春高校3年になる娘さんと一緒にSrapboxをフル活用しています。

今回は、大瀧さんが中学3年のときに始めた趣味で始めたアマチュア無線を最近再開し、そのコミュニティでSrapboxを活用しているというお話でした。

アマチュア無線は、仲間と交信するだけでなく、無線機やアンテナを自作するなど、電子工作やプログラミングとしての多彩な楽しみ方があると大瀧さんは語ります。

そんなアマチュア無線に関する仲間との情報交換をするために、3つのScrapboxプロジェクトを立ち上げたそうです。

R16 Friendship Radio
無線仲間とつながるためのプロジェクト

R16 Lab
電子工作・プログラミングに関するプロジェクト

R16 code
開発中のコードを記録したプロジェクト(非公開)

「これからもScrapboxを使って共通の趣味をもつ多くの人と繋がっていきたい」と、熱く語ってくださいました。

LT7人目:shogoさん「Scrapboxヘビーユーザーが好んで使っているカスタマイズ・ツール5選」

 

続いては、LT初登場のshogoさん。

Scrapboxの愛好家で、あらゆることをメモする個人ノートとして使っているのだそう。2018年から使い始めて、今日時点で13,164ページ!適切な「小ささ」のページで切り分けるのが使い方のキモ。

これまで自分自身に馴染むチューニングを模索してきましたというshogoさん。今回はそのなかから5つのカスタマイズやツールをご紹介してくれました。

1. UserScriptでエディタのキーボードのショートカットをつくる

ページタイトルからのGoogle検索や、クリップボードへのコピーなど、ページの編集でよく使う動作を、キーボードのショートカットでやりやすくしている。 

2. WebページをScrapboxに送ってページを作成する

自作のChrome拡張機能「Save to Scrapbox」を使い、表示しているWebページのタイトルとURLでScrapboxページを作成できるようにしている。

3. Chromeの検索エンジンにScrapboxを設定してページにいち早く辿り着く

PC利用時、Google Chromeのアドレスバーから目当てのページをピンポイントで開けるようにしている。

4. モバイル向けWebアプリを使って目当てのページにいち早く辿り着く

自作のWebアプリ「Scrapbox Swifter」を使い、モバイル端末から目当てのページをピンポイントで開けるようにしている。

5. おまけ:GitHubの芝生風

PixelaとGASで、日々の行の更新数を“GitHubの芝生”風にビジュアライズしている。 モチベーションにするというよりは、たまに眺める用。

「ページ同士がどんどんつながり、まるで脳が拡張していくような、もしくはクラウドにもう一つの頭脳が存在するような感覚を味わえる」と、素敵な言葉でScrapboxの魅力を語ってくれました。

LT8人目:ようかんさん「プライベートプロジェクトを友達と共有する喜び」

 

LTの最後は、大学2年生の井上陽介(ようかん)さん。

LINEのAPIを使った開発が好きで、いろんなLINEBotを開発してきたのだそう。つい先日は、LINE上で割り勘・立替の計算、支払いのやり取りを全て行える「#TATEKA」をリリース!友達と遊びに行くときや、デート、飲み会などなど、さまざまなシーンで利用できるサービスです。

そんなようかんさんが開発したScrapboxに関する機能を紹介してくれました。

・LINEBotとScrapboxを連携して名刺管理をしよう!

LINEの公式アカウントに名刺を貼り付けるだけでScrapboxに自動でOCRで連携できる。メールアドレスや電話番号まで読み取ってくれるので便利。

・TwitterプロフィールをScrapboxにワンクリックで展開しよう!

Twitterのユーザページで拡張ボタンを押すと、自動でScrapboxの新しいページが作られる機能。

・scrapboxの更新をLINEで通知しよう!

scrapboxの更新をLINEで通知する機能。LINE NotifyとGoogle Apps Scriptを使って実現。

また、ようかんさんは現在、友達同士でScrapboxを交換することを楽しんでいるのだそう。信頼できる人とScrapboxを共有してコミュニケーションをとると、お互いの脳をつないだような感覚が味わえて楽しいと話します。

ようかんさん「タイムゾーンが全然違うような友達に相談に乗ってもらったり、議論ができたりして最高!1人で悩まずにみんなで悩む…『人生をみんなで生きている』という実感がもてます。」

また、シェアハウスで一緒に暮らす仲間からは「生活音が少しうるさいよ」みたいなことをScrapboxでこっそり教えてもらったこともあるのだとか。会話だと少しトゲが立つようなことも、柔らかく伝わったようです。

自分自身のプライベートプロジェクトに、日記・カレンダー・名刺・TODO・アイデアなどの全てを書き込んでいるというようかんさん。

「Scrapboxはなくてはならないツール。Scrapboxを使うようになって、自分の考えがどんどん可視化できる喜びをひしひしと感じています!」と、その愛を伝え、会場の共感を誘っていました。

3年ぶりの復活で大いに盛り上がったScrapbox Drinkup。白熱するLTで時間が押し、焦る運営スタッフ…そんな展開もまたリアルイベントならではと、喜びが込み上げました。

ぜひ次回の開催にもご期待ください!

( 文・写真 下條信吾)