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サポートセンターのペーパーレス化にCosenseを採用!全員参加型のナレッジ作成が1カ月で軌道に

株式会社伊予銀行 | Cosense導入事例

· #会社で使う
伊予銀行の皆様
 伊予銀行ロゴ

業界:金融・保険・FinTech
用途:サポートセンター/コンタクトセンター/コールセンター内のナレッジ共有
課題:マニュアルのペーパーレス化、ナレッジ共有の仕組み作り

 

|  記事の要約  | 

  • 伊予銀行では本社ビルの建て替えプロジェクトに伴い、徹底したペーパーレス化が急務に。サポートセンター部門ではオペレーターが使用する累計452冊の紙マニュアルをゼロにするために、デジタル化の具体策を検討していた
  • ペーパーレス化と同時にナレッジマネジメントを実践し、理想のサポートセンター運用が実現できるとHelpfeel Cosense(コセンス)の導入を決定。導入当初はHelpfeel社のコンサルタントに任せることで、現場主体の運用体制を軌道にのせることができた
  • Cosense導入後の1カ月で246件の記事が作成され、検索してヒットするようになると、現場でも「役立つ」という手応えが生まれ、徐々に紙を手放す不安が消えたと言う。現在では最大で約7割の紙資料を削減することができており、ペーパーレス化が順調に進んでいる
  • 今後はサポートセンター全体でCosenseを活用し、誰もが協力し合える柔軟な組織体制の構築を目指す

 

組織でナレッジマネジメントを実践すると、ペーパーレス化も同時に実現できます。しかし実際には簡単ではありません。新しいやり方に挑戦する現場の方々にもメリットを提示し、不安を解消できるかどうかが成功の鍵を握っています。

株式会社伊予銀行(愛媛県松山市)は2024年5月、全行で進めるペーパーレス化の一環として、ナレッジマネジメントツール「Helpfeel Cosense(コセンス)」を導入。サポートセンターのオペレーターが主体となってナレッジを作成・活用していく運用を、わずか1カ月で軌道に乗せています。取り組みのポイントや現場で得られた手応えなどを、同社ビジネスマーケティング部の橋本 理絵様(課長代理)、山本 匡二様に伺いました。

 

452冊の紙マニュアルをゼロにせよ!ナレッジマネジメントの開始により、ペーパーレス化とナレッジ共有の仕組みづくりが同時進行

ビジネスマーケティング部 課長代理 橋本 理絵様

ビジネスマーケティング部 課長代理 橋本 理絵様

── サポートセンター部門の企画担当としてCosenseの選定・導入に関わられたお二方から、まず導入検討に至った経緯やこれまでの課題感についてお聞かせください。

橋本様 現在当行では本社ビル建て替えのプロジェクトが進んでおり、これに伴って徹底したペーパーレス化が求められています。ここで困ったのがサポートセンター部門です。オペレーターが電話応対で用いる累計452冊の紙文書をゼロにする必要があり、2023年半ばから、どうやってデジタル化をするかを関係各所と検討していました。

今回私たちが導入したCosenseは、ペーパーレス対応の具体策を探る中で見つけたツールです。

サポートセンター写真

実際のサポートセンターの様子。デスク横にファイルが複数ある

山本様 私は単なるペーパーレス化にとどまらず、ナレッジを共有する仕組みも新たに作れる点でCosenseに魅力を感じていました。

「テレマーケティングからフリーダイヤル窓口まで当行一筋25年」という方をはじめ、このサポートセンターには経験豊富なオペレーターが多く在籍しています。

しかしこれまで各オペレーターは、回答時の資料となる印刷物を綴じたファイルや、現場を監督しているスーパーバイザーの判断といった、“上”からの情報に従って業務を進めてきました。一人ひとりが持つ経験、知恵を相互にシェアする仕組みはなかったということです。

スーパーバイザーからの指示を待つばかりでなく、現場のオペレーター同士もCosenseを通じて教え合う関係ができれば、スーパーバイザーに多大な負荷がかかる「資料作成」「エスカレ」「新人教育」を負荷分散できて、ペーパーレス化も負担小さく進めることができますし、オペレーターの参加意識も高まり、さらには新人のひとり立ちも早まると考えたのです。

加えて、私が参加したサポートセンター業界向けのセミナーで、Cosenseに惚れ込んで転職したという担当者の話を聞き、「ツールの世界観が分かりやすい」「惚れ込むだけの理由があるはず」と信頼感も持っていました。

 

KCSに則った運用支援体制も評価し、Cosenseの導入を決断

ビジネスマーケティング部 山本 匡二様

ビジネスマーケティング部 山本 匡二様

── Cosenseを採用された決め手はどういった点でしょうか。

橋本様 実は私は以前から、対応記録をベースにしたナレッジマネジメントの手法であるKCS※に可能性を感じていたのですが、実際の運用イメージが持てず、導入に踏み切れていませんでした。考え方はとても良いので実践したい、けれどもExcelでどうやって実現するのだろう?Excelでできるのか?という感じです。

※ KCS(Knowledge-Centered Service):
米国で確立されたサポートセンター向けのナレッジマネジメント手法。各オペレーターが自身の対応記録をもとに、再利用しやすい形式で情報をまとめ、これらの「ナレッジ」を組織全体が共有するコンテンツとして改善していく仕組み。

解決ループ ナレッジを捉える・構造化する・再利用する・改善する、発展ループ コンテンツを健全に保つ、プロセスを統合する、パフォーマンスを評価する、リーダーシップとコミュニケーションを推進する

今回、Cosenseをご紹介いただく中で、「KCSにぴったりのツールだ!」と思いました。デモを通して運用イメージがつき、担当者と打合せを重ねる中でいけそうと感じました。信頼できる導入サポートがついていたことも大きいです。Helpfeel社の皆さんによるサポートは本当に品質が高く、FAQサービス「Helpfeel」を導入したときも感動をしていました。

技術と人、両方ともがあるHelpfeel社さんとであれば、ペーパーレス化と同時にKCSも実践でき、理想のサポートセンター運用が実現できると導入を決意しました。

── 新たなツールの採用で、オペレーター全員が仕事のやり方を変えることへの不安はありませんでしたか。

橋本様 Helpfeel社の技術と人を信頼していたので私自身はさほど不安を感じませんでした。

山本様 スタートの仕方はしっかり考えました。業務でCosenseを使ってほしいと私たちがメンバーに直接お願いをすると、「上からの無理強い」という印象になり、理想とする「みんなで」という文化は実現できないと考え、導入部分をCosenseの担当者に完全にお任せしました。

サポートセンター(会社)、お客さま、オペレーターの3者、誰にとっても嬉しい取り組みであることを丁寧に説明してくださったので、「無理やりやらされる」のではなく「良い取り組みをみんなで協力しあって進める」という雰囲気で進められたのかなと思っています。

橋本様 「まずどこで誰から使い始めるか」という、チーム・メンバーの選定もポイントだったかもしれません。

ITツールの導入プロジェクトでは、失敗を防ぐため、デジタルと相性が良いチーム・ITが得意なメンバーから取り組みがちかと思います。しかし今回私たちはその後の展開を意識して最初のチーム・メンバーを選びました。具体的には、サポートセンター内でも守備範囲が広く紙資料が最も多いフリーダイヤル窓口のチームを選び、8人いるオペレーターの中から特に信望が厚いベテランメンバー中心にパイロットチームを作り、24年5月末から先行的にCosenseを使ってもらいました。ここでうまくいけば他でもうまくいくだろうという考えです。

成果は想像以上でした。彼女たちの「自分たちがうまく使えなければ他のメンバーはもっとできない」という強い責任感とリーダーシップに助けられ、6月末までのたった1カ月で、カオス期は超えられたように思います。

 

「検索してヒットする手応え」で、紙を手放す不安が消えた

橋本様

── 滑り出しから順調だったのですね。新しい試みの先頭に立ったメンバーの方々に戸惑いやプレッシャーはありませんでしたか。

橋本様 そうですね。スーパーバイザーは当初、紙資料を手元に揃えておくのをやめて情報をその都度検索するやり方は「難しいのでは」と消極的でした。

また、オペレーターに当時の正直な気持ちを聞いたところ、「教わった通りにやる日々で紙資料と同等以上のマニュアルになるか不安だった」「良いものだろうと分かっていても、日々の記録を残す繰り返しで本当に良いものができるか半信半疑だった」と言われました。初めての試みなので当然だと思います。

山本様 オペレーター自身でナレッジを作っていく必要があるため、最初の2,3週間は不安が続いたようですが、応対業務中の検索で自分たちが手がけたナレッジがヒットしだすと、「確かに役立つ」という手応えが生まれ、モチベーションが上がったそうです。

パイロットチームでないメンバーも自発的にCosenseを使い始めていて、チーム全体でCosenseを活用していく段階に入ってきました。

橋本様 ナレッジ記事の閲覧数・作成数・編集数のいずれの数字も期待した以上の数字が出ています。1カ月で246件の記事が作られ、累計287回更新されています。特に、作成数がここまで伸びたことには驚いています。

 

応対中も見やすいCosense。導入1カ月で、最大約7割の紙資料を不要に

向かって右から、橋本様、山本様、澤田が座っている

伊予銀行様と二人三脚で本プロジェクトを進めてきたCosense事業開発責任者の澤田と談笑する橋本様と山本様

── 電話応対のかたわら検索して回答のヒントを探すという、当初懸念された手順も定着したのでしょうか。

橋本様 はい。むしろ「ナレッジ記事のほうが見やすい」と歓迎しているオペレーターもいます。

これは「目当ての紙資料が複数冊のファイルの中からすぐ見つかるとは限らないが、ナレッジは検索キーワードと一致すれば瞬時に出てくる」こと、さらに「ナレッジは項目別に短文箇条書きでまとめてあり、長文の記述が多い紙文書に比べ、通話を聞き取りながらでも内容を把握しやすい」ことなどが理由だそうです。

── ペーパーレス化も順調に進んでいますか。

山本様 とても順調です。フリーダイヤル担当のチームはCosenseで置き換えた内容を中心に、各オペレーターが入社時から残してきた古い紙資料の処分を進めており、ツール導入から1カ月時点で既に、ファイルの数で4割から7割近くを減らしています。

橋本様 いちばん紙マニュアルが多かったチームがここまで達成しているので、部門全体でファイル452冊の紙文書は、25年5月までに完全廃止できるとみています。

いよぎん三番町ビルの入口付近を撮影、1階には伊予銀行のATMが見える

いよぎん三番町ビル(取材当時)

── 最後に、今後のCosenseの活用に向けた展望をお聞かせください。

山本様:想定以上のペースでナレッジが作られている現在、それらをスーパーバイザーが銀行内部のルールに照らしてチェックする工程に手がかかっている状況です。この工程は「オペレーター・スーパーバイザーが双方向で行う共同作業」という、従来なかったタイプの進め方なので、今後慣れていくにつれてスピードアップしていくだろうと考えています。

橋本様:24年10月からは、サポートセンター全体で60数人いるオペレーターが、全てCosenseの利用を始めます。監督役であるスーパーバイザーを含め、現場の全員が同じツールでやり取りすることを通じ、お互いの気遣いがもっと感じられる職場になればと願っています。また同時に、誰もが別のチームの業務をカバーできるような、より柔軟な体制の組織を目指していくつもりです。